16.5 汚職や賄賂を身近にしない

目標 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。

出典:外務省訳

皆さんは、汚職や賄賂についてどれくらい知っていますか?
世界中の、どれくらいの人が関わっていると思いますか?
 
 
2019年、インドで行われた調査を見てみましょう。
この調査を行ったのは、賄賂や汚職をなくすための活動をする国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」、通称TIです。
 
TIの調査によると、「過去1年間に賄賂を支払った経験がある」と答えた人は、回答者の51%にものぼりました。
つまり、少なくとも2人に1人が賄賂に関わっていることになります。
 
さらに恐ろしいことに、警察などの公職において、著しい汚職が見受けられたというのです。
本来ならばクリーンで信頼できる機関であるべきなのに、このような結果になるとは驚きです。
 
 
この調査結果を見て、皆さんはどのように感じましたか?
 
日本に住む私たちの感覚としては、かなり多い印象なのではないでしょうか。
同じオフィスで仕事をしている人の半分が、賄賂を払い、汚職に関わっているとイメージしてみてください。
これでは、安心して生活することが出来ませんね。
 
 
では実際のところ、日本の賄賂・汚職の現状はどうなのでしょうか。
 
TIではCPI(腐敗認識指数)という指標を用いて、汚職度に関するランキングを発表しています。
 
「公務員が腐敗していると思うか」
「公務委に賄賂を要求されたことがあるか」
といったアンケートを取ることで、国民の声を集めています。
 
 
「CPI2020」という調査によると、日本は100点満点中74点という結果でした。
これは、180か国中、19位となかなかの上位です。
私も身近で「賄賂を払った」という話を聞いたことがないので、この好成績には納得がいきます。
 
ちなみに、
・トップ3は、デンマーク、ニュージーランド、フィンランド
・ワースト3は、南スーダン、ソマリア、シリア
という結果でした。
 
 
調査だけを見れば、日本は汚職や賄賂と縁遠く、安心して暮らせる国だと安堵の気持ちを抱く人も多いことでしょう。
 
では、このまま何もしなくて大丈夫なのでしょうか?
 
 
続いて「腐敗防止」という観点から見てみましょう。
 
国連では、2003年に「国連腐敗防止条約」というものが採択されました。
その名の通りなのですが、汚職や腐敗行為を防いでいくための条約で、多くの国が加盟しています。
 
日本もすぐに締結・批准したと思いきや、実際は14年後の2017年になってからなのです。
これは世界的に見ると、かなり遅いです。
 
 
また、透明性の確保・犯罪や腐敗防止のための専門機関の立ち上げもされていません。
多くの国では、通報先となる公的機関があるのですが、日本にはそういったものもありません。
自助努力・世論による抑止に頼るばかりで、公的な組織整備が行われていないのです。
 
ものがたくさんあり、都市化され、日本は先進国と呼ばれるまでに成長しました。
しかし以上のように、腐敗防止という点においては、後進国と言わざるを得ません。
 
 
こうした数々の事象をただ批判するだけではなく、どうすれば改善出来るかを考えていく必要があります。
日本でも汚職や賄賂が、完全にゼロというわけではないのです。
そして、もっと深刻な状況にある国もあるのです。
 
このままでは腐敗まみれの国に転覆してしまうかもしれない
そんな危機意識を持ち、どのように改善していくか考えてみませんか?

 

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