11.7 あなたのまちは住みやすいですか?​

目標 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する

出典:外務省訳
祖父母と孫たちの画像

「住み続けられる街」とは

突然ですが、私は5歳と1歳の男の子を育てている共働きの子育て世代です。 ​

上の子が小学生になったとき勤務終了時間になるまでのことなどを考えると心配なのですが、あなたは子供と高齢者が同居する「共生型施設」をご存知ですか? ​

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 過去5年で小学生以下の人口が34%も増えたという子育てのしやすい町で学童保育と高齢者施設を一体化した施設が注目されており、私と同じような子育て世代などには大変興味深いのではと思いましたので、今回は子供と高齢入所者が共生して同じ玄関を利用し、鍵を閉めることもなくオープンにしている全国的にも珍しい「共生型施設」の存在とその先進的な取り組みをご紹介します。 ​

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 「自立した循環型地域社会とサステナブル(持続可能)なコミュニティの形成」を目指し、1999年に地域の待機児童がゼロだった状態から保育園運営に参入し、子育てをしている女性の「働きたい」という潜在的なニーズを読み取った不動産開発業者が行ってきた様々な取り組みのひとつで、この施設が開所した当初、子供と認知症の高齢者を同じ施設内で預かることはかなり先進的でした。​

そして正直、私も感じたことなのですが、 当時、子供の親からは「危ないのでは?」という懸念が強かったそうです。しかし、持続可能な地域社会を目指すには、異世代との交流が必要不可欠で子育てと高齢者福祉のどちらもまちづくりの重要課題だと考え、開設に踏み切ったそうです。また、施設内の学童管理者の方は、現場ではメリットのほうが大きいと語っています。 ​

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 一般的なグループホームとは違い、ここでは子供たちの元気や活力が高齢者の感情を動かすという良い効果もあり、子供もなぜ自分が怒られたのかを考えるきっかけになります。 ​

通路に荷物がそのままに置いてあるとき、「片づけなさい」ではなく、「○○さんが転んじゃうよ」と言うと、子供たちは片づけを意識するようになります。逆に、子供が落ち込んでいる時に高齢入所者が慰めたり励ましたりする光景も見られ、保護者からは「子供が優しくなりました」と良い評価を数多く受けていると云います。 ​

子供の教育などを考えた場合、共生する効果は非常に大きいといえますし、過去5年間の小学生以下の人口増加率34%という数字に結果が表れています。 ​

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この共生型施設の大きなポイントは、 ​

数多くの催し物を企画して無理に高齢者と子供を交流させるのではなく、自然な“接点”をつくるところにあります。 ​

 子育ての支援だけだと、町は衰えてしまう。少子化対策と高齢化対策の両方がうまくまわることが重要です。​

 私たちもいつかは高齢化します。その時に安心して暮らせるかどうかは、私たち働き盛りの世代にとっても気になるところではないでしょうか。日々の子育てと引退後の余生、どちらも魅力的でなければ、「住み続けられるまち」にはならないのです。 ​

 

 

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