9.4 持続可能なエネルギーの開発

目標 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う

出典:外務省訳

ここで問題です。

日本で排出される可燃ゴミの量は年間どれくらいでしょう?​

① 900万トン  ② 4,300万トン  ③ 6,000万トン​

正解は③の6,000万トンです。​

皆さんは日々、生活していて捨ててしまうゴミのことなど考えたことがあるでしょうか?​

正直、私も考えたことがありませんでしたし、もちろん冒頭の問題も正解できませんでした。​

この年間6,000万トンという量は、国内でプラスチック生産を行う上で用いられてる化石資源年間約3,000万トンと比べ、2倍に相当するにも関わらず、その再利用はごく一部で、多くは埋立・焼却処分されているのが現実です。​

 プラスチックは私たちの生活に欠かすことのできないものとなっていますが、海洋プラスチック問題などに代表されるように使用後の扱いが課題となっていることは周知の事実だと思います。​

 今回は、その捨ててしまうゴミを資源に変えるという、映画「バックトゥザフューチャー」のデロリアンみたいな、夢のような技術をご紹介します。​

 これは、日本の企業とアメリカの企業が協力し、集められたゴミを全く分別せずにガス化し、圧力や熱ではなく微生物を利用することでエタノールに変換する世界初の生産技術で、日々、大量に出るゴミを工業利用できるようにした革新的な成果です。​

この技術のポイントは大きく分けて3つあります。​

(1)雑多なごみを分子レベルにまで分解し特性を均質化する技術「ガス化」を採用。​

(2)圧力や熱を利用しない「微生物触媒」によるエタノールの生産と、それを具現化するため、​

   ガスに含まれる不純物の特定と精製を行う「ガス精製技術」の確立。​

(3)ごみ中の成分や組成変動に応じて微生物の活動状態を一定になるよう調整してエタノール​

   を生産する「培養コントロール技術」の確立。​

 20世紀に大きく進歩を遂げた石油化学産業は、今の社会には欠かせません。私達の生活を豊かにしてくれている化学製品群の多くは、石油・天然ガス等の化石資源から生み出される有機化学素材によって構成されていますが、あくまで化石資源は有限であり、地球温暖化等を引き起こすリスクもあります。​

 エタノールはそれ自体が最終製品として大きな市場を有するだけでなく、石油化学製品の6割程度を占めるエチレンと同様の構造が特徴であり、既に存在する化学プロセスの活用によりエタノールを変換させることで、プラスチック原料として利用することが可能です。これにより、ゴミの再利用による化石資源の代替だけでなく、持続可能な社会の構築のほか、全国各地での新たな産業創出や、炭素の固定化効果による大幅な二酸化炭素の排出抑制にも貢献できるそうです。​

 この技術は、まさにゴミを「都市油田」に替える技術であり、普及させることで、化石資源に頼らずプラスチック等の生産ができるようになり持続可能性が向上することでしょう。

 

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