目標 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸与などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
出典:外務省訳

製造業は国の発展において、とても重要な役割をもっています。
経済の発展や雇用の創出、そして安定した社会づくりに必要な原動力となります。
しかし、開発途上国では中小零細企業が多く、なかなか経済発展へとつながらないようです。
SDGsの目標9.3では、開発途上国の製造業のバリューチェーンへの参加が求められています。バリューチェーンとは、直訳すると「価値の連鎖」で、原材料の調達から商品を顧客に届けるまでの一連の活動のことで、そのプロセスに「価値」を付け加え、分析していくことを意味します。
サプライチェーンと違い、企業活動に「価値」を作り、企業の強み・弱みを理解し、戦略を立てていくという目的があります。
製造業における一人あたりの付加価値は、欧米諸国では4,621米ドルに対し、開発途上国ではわずか100米ドルにすぎません(2016年)。
開発途上国は、先進国に比べてハイテクノロジー分野で大きく差があるものの、農作物や衣料・衣服分野では、まだまだ潜在的に発展性があるといわれています。
企業や商品に付加価値を付け加える産業構造へ転換し、国レベルで産業を発展させていくことが求められています。
しかし、開発途上国は中小零細企業が多く、正規の金融機関から融資が受けられないことが問題となっています。
貧困層向けの小口融資、つまりマイクロファイナンスと呼ばれる融資では、金額の規模が小さく、十分なサービスが受けられません。仮に、マイクロファイナンスを卒業した中小企業でも、大手銀行からみれば、信用がなく融資するには魅力的でないことも多く、これもまた融資サービスを十分に受けることができません。中小零細企業にとって金融サービスを利用できないことは死活問題でもあります。
このように金融サービスにアクセスできない層のことを「ミッシングミドル」といいます。
また国が支援する大企業は潤っても、意欲的な中小企業が育たない状況を指すともいいます。
金融機関が対象にしない「ミッシングミドル」といわれるこの層の発展こそが、国の経済発展や雇用創出、社会の安定に大きくかかわってきます。 「ミッシングミドル」の顧客を対象に、いかに金融サービスを提供するか、中小零細企業がビジネスを通して収入を得るだけでなく、いかに付加価値を高めて企業活動ができるかが、開発途上国の発展にとって重要なカギとなってきます。
【この記事に関連する目標はこちら】