目標 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
出典:外務省訳

まず初めに、「産業化」とはなにか考えていきましょう。
ターゲット9-2で使われている「産業化」という言葉は、“industrialization(インダストリゼーション)”の日本語訳です。
この「産業化:industrialization(インダストリゼーション)」の意味を考える上で、人類の歴史を振り返る必要があります。
私たち人類の社会は「狩猟採集社会」、「農耕牧畜・農業社会」、「工業社会」を経て、「情報社会」に至ると考えられており、それぞれは次のような社会と言われています。
- 狩猟採集社会:簡単な道具を使用して動物を狩り、植物を集めて暮らす小規模な社会
- 農耕牧畜・農業社会:道具を用いて植物や動物を育てて食料を確保する社会
- 工業社会:エネルギー源を動力とする機械を用いて、「農耕牧畜・農業社会」よりも更に多くの人口を養う社会
- 情報社会:現在の日本国内のように、サービス業や情報産業の占める割合の高い社会
次に、「持続可能な産業化」とはどういうことなのか…。
現在の先進国が一歩先に成し遂げた「工業社会」においては、自分たちの安全を守るために経済力や軍事力を競い合ってきました。
その結果、様々な技術が発達しましたが、人体や地球に有害な影響を及ぼす公害が問題となり、現在、自然の修復力では追いつかないほどの負荷(地球温暖化や生態系破壊などの環境問題)が地球に掛かっています。
現在の途上国が、これまでの先進国と同じように工業化・産業化の道をたどった場合、地球に掛かる負荷はどんどん高くなってしまうことになり、先進国の工業化・産業化は持続不可能なものだったということになります。
そこで提唱された概念が「持続可能な産業化」で、今後、工業化・産業化が見込まれる途上国と、先進国の両方が環境に配慮していき、私たちの子孫が生きることのできる社会づくりをしていこうという取り組みです。
しかし、どんなに先進国が「持続可能な産業化」を提唱しても、途上国が望んでいることは、環境の負荷を考えることよりも、安全で安定した豊かな暮らしになることかもしれません。 途上国における環境負荷の高い経済活動は、先進国の人々の暮らしを支えているケースも少なくなく、先進国で暮らす人々が、大量消費のライフスタイルを見直して、一連の経済活動の在り方を変えていくことが必要不可欠だと考えられます。