2.2 生まれる前の赤ちゃんたちを支援するために

目標 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

出典:外務省訳

未来の子供たちを守るのも危険にさらすのも私たち大人です

私は以前、産婦人科で看護師をしていた経験があります。

産婦人科というと、毎日のように新しい命が産まれるキラキラした世界をご想像される方が多いのではないかと思います。確かに、産科は皆さんがイメージするとおり優しいピンク色を基調とした明るい感じです。

ですが、私が配属されたのはNICU(新生児集中治療室)でした。

NICUは産科ですが全然雰囲気は違います。クベース(保育器)やモニター、電子機器が所狭しと並べられた無機質な空間、それが私の配属されたNICUでした。

求められる厳重な観察・管理体制。

平均よりもずっと小さく産まれた赤ちゃんは、生まれてすぐ、生命維持のための処置や適切な呼吸管理、体温管理、栄養管理ができなければ命の危険があります。

出生体重が2500g未満の新生児を「低出生体重児」と言いい、保育器が必要な基準とされていました。

さらに1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」といいます。 日本では出生数が減少しているものの、低出生体重児の数は毎年増加しています。日本だけでなく、先進国(アメリカやイギリス)でもなかなか減少しません。

それはなぜでしょうか?

途上国では、妊婦が貧困のため十分な栄養が取れなかったり、12歳や13歳といった低年齢での出産が大きな原因となっています。

先進国の場合は、妊娠高血圧症候群(HDP)、妊娠糖尿病などによって切迫早産になる事が原因となっています。また、出産年齢が上がるほどにそういった合併症が起こるリスクも高くなります。

世界で亡くなる250万人の新生児のうち80%以上は、低出生体重児だそうです。そして無事産まれても、発育阻害(スタンティング)や、その後の人生において糖尿病や循環器疾患などの慢性的な病気や、発達上・身体上の健康問題を抱えるリスクが高いのです。

低出生体重の主な要因への理解と取り組みをSDGsでも呼び掛けています。

持続可能な目標として、より多くの投資と支援が世界で必要になっています。

マラリアなどの感染症、栄養状態、また室内空気汚染などの環境要因、喫煙および薬物使用などの科学的な要因も低出生体重児の要因になります。

低所得国では、主な要因は子宮内での不十分な発達です。より開発が進んだ国においては、低出生体重児の多くは早産(妊娠37週未満での出産)と関係しています。

いま私たちに出来る支援は、何でしょうか?身近に妊婦さんがいる人も、いない人も今一度考えてみてください。もしかしたら、私やあなたの小さな行動が未来の子供たちの健康につながるかもしれません。

 

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