11.5 自然災害から身を守る

目標 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

出典:外務省訳

世界中で発生する台風や干ばつ、地震、津波などといったさまざまな自然災害は、人々の生活に大きな影響をもたらしています。

近年で発生した災害では、中国での記録的な洪水で5000万人以上が被災しました。

世界の地域別にみると、世界の自然災害による被災者数の約80%をアジアが占めています。

さまざまな災害が毎年人々の暮らしを脅かしていますが、特に直接的な影響を与えている洪水や台風による被害者の合計数は世界の全体の被災者数の約85%も占めています。

こうした災害によって、住居や家財道具といった生活基盤を失い、食糧や水が不足し、不衛生な環境での生活を余儀なくされることで、弱い立場に置かれがちな子どもたちは、感染症や貧困といったリスクに曝されやすいと言われています。

  

2019年に自然災害や紛争などにより発生した新規の避難民は、世界で約3340万人に達しています。そのうち、災害による避難を余儀なくされる人々は約2490万人になり、全体のおよそ4分の3を占めています。中でも、インド、フィリピン、バングラデシュ、中国が上位4か国を占め、地域別にみると、アジア太平洋地域に約960万人、南アジア地域に約950万人となっています。これらの国だけでも700万人近い子どもたちが被害を受けています。

最も被害を受けているインド、フィリピン、バングラディッシュでは人口の30%以上を占めていて、ソマリア・モザンビーク・エチオピアなどのアフリカ地域では、人口の半分以上を子どもが占めています。

こうしたデータからもわかるように、これまでの災害対策では不十分であり、子どもたちや弱者に配慮した対応も必要となってきます。

このことから、災害で一番被害を受けるのは貧困層の人々やその子どもたちが非常に多く、ターゲット11.5では、こういった貧困層の人々やその子どもたちに対する保護を中心に、自然災害による被害を最低限に抑える努力をしようということが目指されています。

  

台風や干ばつ、地震、津波などのさまざまな災害が私たちの生活する社会に与える影響は非常に大きく、このような災害から身を守るための防災対策や緊急支援システムの整備が今後の課題です。

 

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