10.1 各国の所得を平均値まであげるために

目標 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。

出典:外務省訳

コロナウイルスにより2020年4月7日より主要都市に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大しました。
その影響で飲食業や観光業などの業界が不況に陥り世界中でリストラや早期退職が増加するなか、下位40%の所得層の暮らしは厳しい状況になるといわれています。業界によっては大手でも倒産してしまった企業は少なくありません。皆さんの中にも思い当たるお店があるのではないでしょうか。

  

この記事では「所得下位40%に対して、国内平均値を上回る数値の達成と持続」をテーマにしています。
今一度、所得事情について考えてみてもいいかもしれません。

  

少し時代をさかのぼり、1980年代以前の話をしましょう。
当時は「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」というトリクルダウン理論が機能していると考えられていました。

  

しかし1990年代に入ると、提唱された当時とは時代的背景が移り変わっているとされ、現在では否定的な意見が多くなっています。
1990年代半ばに創出された雇用のうち半数以上が非正規雇用やパートタイム労働であり、こうした労働者の増加が下位40%の所得層の衰退、格差を拡大させる要因となりました。今働けているこの状況が普通とは限らないのです。

  

その後「貧困削減効果を伴う経済成長」が模索されており、これは国民全体の所得が向上すれば、貧困層の所得も向上することが明らかになっています。ですが、経済成長により貧困削減を達成した国、貧困削減につながらなかった国を比較した結果「経済成長」により生じた格差が原因とされています。

  

格差が生まれてしまうことで、このテーマとは別の「不平等」の問題が出てきてしまいました。今後も更にこの理論の模索が必要になってきます。

  

現在日本では地方に仕事を作り、若者でも安心して働くことができるよう施策を打ち出しています。
若者雇用創出数の増加、正規雇用労働者等の割合増加、女性の就業率の改善など少しずつ所得の向上を改善しています。
また安心して結婚、妊娠、出産、子育てができる会社があると考える人の割合も年々増加しており、第1子出産前後の女性継続就業率の改善、男性の育児休暇取得率の改善も行っています。
これは結果的に職場への復帰がしやすい状況を作っており、それにより所得率の低下を防いでいることになります。

  

育児休暇など熱心に取り組んでいる企業となれば当然多くの人の目に留まります。社員への負担も減り、職場環境の改善にもつながっていきます。結果企業にもプラスになっていきます。

  

この所得下位40%の所得成長率について、各国平均を上回る数値を達成、継続させるためには、企業の協力が必要不可欠だということです。

 

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