17.5 後発開発途上国

目標 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。

出典:外務省訳

みなさんは後発開発途上国という言葉を聞いたことはありますか?
後発開発途上国は開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々のことで、LDC = Least developed country と略し、ネパール、ミャンマー、エチオピア、タンザニアなど世界に47か国あるそうです。

  

後発開発途上国に分類される基準は3つあり、1つ目は、3年間(2014~2016年)の一人当たりの国民総所得の平均推定値が1,025米ドル以下の低所得水準、2つ目が栄養不足人口の割合や成人識字率などを指標化したHAIと呼ばれる数値が一定値以下で人的資源に乏しい、3つ目、農産物の生産量や商品・サービスの輸出がどの程度安定しているかということなどを指標化したEVIと呼ばれる数値が一定値以下で経済的に脆弱であることです。

  

そして、社会基盤が脆弱であるが故に自然災害に対処できないことや飢餓、インフラ未整備などLDCに分類される国々には開発を妨げる共通の問題があります。
アフリカ・アジアの後発開発途上国は港湾のある隣国の情勢に左右されやすい内陸国である場合が多い。また、オセアニア・北アメリカの後発開発途上国は領土が狭く、低地の島国であるがゆえに少人口で、自然災害に脆く、アフガニスタン、ソマリア、コンゴ共和国などは深刻な内戦状態となっています。

  

 重要な経済成長の三大要素は資本、技術、労働であり、後発途上国は安価な労働力が豊富に得られることが多いため資本と技術をどのようにして蓄積、高度化するかが重要となります。
ベトナムではキャノンやサムスン電子の進出と共に下請け企業が進出し高度な産業・行程へと成長しました。ASEAN先行国が外資系企業を誘致し、その資本・技術をもとに経済成長を達成したようにLDCもまた、これらを直接投資に頼るのが成長への近道といえます。

  

外資系企業を受け入れ、誘致することで地場企業も変化します。
特に、生産性の低い地場企業は淘汰され撤退を強いられるでしょう。
これ自体は資源配分の効率化で一国経済にとっては望ましいことですが生産性の高い地場企業でなければほとんど消滅し、結果として外資系企業だらけになってしまうことに対する懸念もあると思いますがこうした地場企業の減少は短期的です。外資系企業に雇用された労働者が既存の地場企業へ転職しノウハウを伝播させたり、独立して競争力があり生産性の高い地場企業を設立することで外資系企業の生産性の高さだけでなく地場企業の成長も加わって、経済は徐々に成長していくでしょう。

 

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