3.a 喫煙は本当に「百害あって一利なし」か、を考察

実施手段  全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する

出典:外務省訳

「百害あって一利なし」で一番最初に思いつくのはタバコ

「百害あって一利なし」で一番最初に思いつくのはタバコだと思う人はたくさんいると思います。
本当にタバコは「一切の利益がなく害しか持たない」のでしょうか?


タバコは「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つなります。」と、吸うことを進めず、
需要を減らそうとすることがパッケージに記載されているとても不思議な商品です。
肺がんだけでなく、心筋梗塞、脳卒中、肺気腫などの危険性を自らのパッケージで警告しています。

タバコの煙には4000種類の化学物質が含まれていて、その中の200種類以上が有害物質とされ、発がん性物質は50種類以上に上るといわれています。


よく聞くニコチンやタールだけでなく、アセトン(ペンキ除去剤)、ヒ素(殺虫剤)など体に有害な多くの物質がタバコの煙の中に含まれています。
依存性物質を含むアルコールやカフェインなど、お酒やコーヒーなどの嗜好品は、適量であれば健康に問題ないとされていますが、
強い依存性のあるニコチンは有害物質でしかありません。
また、タバコは喫煙している本人だけでなく、喫煙しない周囲の人にも健康への悪影響を及ぼします。
さらに健康被害だけでなく、タバコは火災の原因にもなっています。
やはり、タバコは「百害あって一利なし」だと言っても過言ではないでしょう。

ここでは健康に悪影響があるとわかっているのに販売されているタバコの規制について考えたいと思います。

「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」というものがあります。
2005年に世界保健機関(WHO)から発効されたもので、「喫煙が健康・社会・環境および経済に及ぼす悪影響から、現在および将来の世代を守ること」を目的としています。
締約国は182か国に及び(2020年6月時点)、全世界の国の数が196か国と考えるとほとんどの国が締約国となっていて、
我が国では、日本国憲法に沿って、この条約を遵守し履行する必要があるとのことです。

この条約の主な内容は以下の通りです。


・需要を減らすための価格政策・課税措置
・飲食店等を含む屋内施設を完全禁煙化することによる受動喫煙の防止
・健康被害についての警告表示の強化
・タバコ広告、販売促進の包括的禁止
・未成年者への販売禁止

日本人にとっては、目新しい内容はなく、この条約の取り組みは今後も強化され継続して実施されていくことになります。

喫煙率は近年下げ止まりの傾向があると言われています。
こうした中で、すべての国々でこの条約の実施を強化するためにできることは何でしょうか?

まずは上述の通りタバコは「百害あって一利なし」であること、喫煙・受動喫煙の害や、ニコチン依存症、そしてそれらに対する治療法などについて
しっかりと知り、多くの人に伝え、いろいろな立場の人間がいろいろな視点から上述の条約の取り組みを行っていくことが必要だと考えます。
タバコには多くの税金がかけられていて、このような取り組みが強化され、売り上げが減っていけば、タバコ税収の財源が
脅かされてしまう懸念もあります。
すべての国々において各国民一人一人がこのような背景を理解した上で、この条約の目的
喫煙が健康・社会・環境および経済に及ぼす悪影響から、現在および将来の世代を守ること」
について意識を高め、継続的に取り組んでいくことが重要
だと思います。

 

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