6.5 その水誰の?

目標 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。

出典:外務省訳

日本は四方が海で囲まれている島国です。
そのため、近隣諸国との水の取り合いによる紛争や問題は発生してきませんでした。
 
しかし、世界的に見ると基本的に地続きで国があり、河川を挟んで別の国があるということも珍しくはありません。
 
例えば、世界2位であるナイル川は、エジプト・スーダン・ケニアなど実に9か国の国家が面しています。
開発協力はしていますが、どの国も自国が利用できる水を拡大したいと考え、対立が起きています。
 
中国では、メコン川というベトナムに向かって流れている川の上流にダムを建設しました。
下流であるカンボジア・ベトナムといった国々の水位が低下し、生態系や産業に深刻な被害が発生したとして問題になりました。
 
このような水資源問題を解決する為に、SDGsでは国境を越えた統合的水資源の管理を進めています。

 
この統合水資源管理は国際的に実行度指標があります。
最初にもあるように日本は島国なので94%とほぼ管理出来ているのですが、世界を見るといまだ表面上な協力のみで、実際は各国のにらみ合いが続いているところも多いです。
 
統合的水資源管理という名前の通り、河川・地下水・雨水・蒸発水といった自然界に存在する水の循環が管理対象です。
例えば工業廃水を河川に流している場合、その水は海に流れ、それが蒸発して雲になり雨となって山に降り、そこに地下水となって蓄積され、また川や飲み水となります。
 
工業廃水を流している近隣の川だけが問題というわけではないのです。
そのため、この水資源を個別に考えるのではなく、水の循環そのものを管理し、すべての人が水を安全に使用できるように実施することが求められます。
 
この事業の一環として日本の独立行政法人協力機構では、スーダンへ支援を行いました。
このプロジェクトでは、日本から各専門家の現地派遣や機材の供与、スーダンの施設で働くスタッフに対する研修などを実施しました。
 
それによりスーダンでは、

  • 問題点の洗い出し
  • 水収支の評価
  • 水資源管理における課題点
  • 特定地域に絞って実施する


といったことから、管理における戦略や法制度・体制に対して提言し、ある一定の評価が見られました。
今は事後評価待ちとなっています。
 
 
日本は海で囲まれているので想像しにくいのですが、世界的な問題であり現在も紛争の原因のひとつという事を忘れてはなりません。
この事業に対して私たちも協力できることは個人で取り組んでいかなければならないと思います。

 

【この記事に関連する目標はこちら】

  • 日本の貧困イメージ
    1.2 日本貧困ラインとは