8.1 経済成長率を持続させる

目標 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。

出典:外務省訳

経済成長率とは

一定期間において、国の経済規模がどれだけ増えたかを示す割合のことを経済成長率といいます。
一般的には国内総生産(GDP)の増加率を指標とします。

  

■先進国の経済成長率

先進7カ国(G7)の成長率軌道(2021~22年)

アメリカ、日本、ユーロ圏、イギリスのGDP成長率を比較した場合、2021年、22年ともに、成長率トップはイギリスで、日本が最下位という構図が続く

  

興国の経済成長率

新興国の成長率は先進国のそれを上回ってはいるものの、コロナショック以前の格差は5年平均(2015~2019年)で2.2ポイント、10年平均(2010~2019年)で3.1ポイントだったので、回復順調な先進国と停滞する新興国の成長率の差は一気に縮まることになる。

  

■新興国の経済成長率を高めるため

2030 年に向けて多くの新興国は成長、向上すると見込まれているが、新興国はそれぞれに抱えている課題が異なり、そのために各国の成長スピード差も生まれます。新興国の今後を展望する上で注目すべきトレンドは、①高所得や富裕層市場が拡大、②「中進国の罠」に陥る国と回避する国の 差が明確化、③高齢化が成長の足枷になる、の3つである。

  

①高所得や富裕層市場が拡大

 新興国の消費市場はこれまで注目されて きた中間層のみならず富裕層も合わせて拡大を続ける。

2030 年の新興国市場では、特に都市部を中心に拡がる富裕層向け市場の拡大が期待される。

  

②「中進国の罠」に陥る国と回避する国の差明確化

・イノベーション力の向上:他国の模倣ではなく、自国の技術で新たな商品・サービスを作る

・人的資本の蓄積:これまで自国で作ってきたものよりも、より複雑で価値のある商品を作るために職業訓練、高等教育を受ける人を増やす。

・先端的なインフラの整備:道路や電力だけでなくブロードバンドなどのより先端的なインフラの整備も重要

・制度・政治体制の整備:金融への関心、知財にまつわる法整備、社会の不平等を是正し機会を増やす取組み

  

③高齢化が成長の足枷になる新興国

 昨今の高齢化は先進国の課題とされてきていたが、2030 年に向けては一部の新興国でも深刻な課題となる。

 しかし、上記の先進国の状況との違いは、経済水準が十分でない状態で高齢化社会を迎 えるという点にある。

  

21世紀は新興国が経済大国になる

21世紀を支配するのは新興諸国であると考えられます。2050年までに、中国は他国を大きく引き離して世界最大の経済大国となる一方、インドが米国をわずかながら抜いて世界第2位の経済大国となり、インドネシアが4位に浮上すると予測されます。EU27ヶ国が世界のGDPに占めるシェアは10%未満まで低下する可能性があります。また、世界経済は人口の伸びを上回るスピードで成長し、現在から2050年までの間に2倍を超える規模となるでしょう。

 

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