15.4 生活の基盤となる陸の豊かさを守るための、森林、山地等における生態系の保全

目標 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、
生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う

出典:外務省訳

ノルウェー 山地 自然 - Pixabayの無料写真

地球には様々な生物が生息しています。陸に住む生物の多くは森林で生息しています。
森林を含め山地生態系は、生物多様性の保全や資源の保続性に大きな役割を果たしています。
私たちが生きていくために必要な食料、水、燃料、またそれらによってもたらされる生活は、
陸の生態系が生み出す恩恵といっても過言ではありません。
世界には森林・林業など森林由来の資源に依存した生活を送っている人がたくさんいます。

私たちが陸の生態系によってもたらされる恩恵には主に4つの種類があります。
それは供給サービス、調整サービス、文化サービス、基盤サービスです。
供給サービスは食料、水、燃料など私たちの生命に直接かかわってくるものです。
調整サービスは水質の浄化や作物の花粉媒介、気候などを調整するものです。
文化サービスは宗教や精神的な価値、伝統文化への影響となるものです。
観光資源も文化サービスとしての役割を果たしています。
基盤サービスは自然災害防止、光合成による酸素供給、栄養塩循環などの基盤となるものです。

このように陸の生態系は食料、水やエネルギー資源の供給だけでなく、
観光資源や祭祀など伝統文化にも大きな影響を与えているのです。
中でも注目されているのは自然災害の防止です。
近年では気候変動や森林伐採により陸の生態系が破壊され、私たちの生活は脅かされていますが、
自然災害のリスクに対しても生態系が果たす役割は大きく、災害防止の効果としても注目されています。
代表的な例をあげると、山地災害の防止や洪水、渇水による流域災害の防止、
ほかに津波・高潮等の沿岸域災害披害の緩和等があります。
特に我が国日本は、地質、地形、位置、気候条件より台風、豪雨、豪雪による災害が発生しやすい国土であります。
森林の大量伐採の結果、森林は荒廃し、各地で大きな災害や水害が発生するようになりました。
森林が山地災害の防止や土壌保全という機能をはたしていることは広く知られています。

山地生態系を守るため、森林を適切に整備・保全し、健全な状態に維持していくことは、地域の安全・安心の確保、
しいてはその地域に暮らす人々の仕事をつくりだし、生活を守ることにもなります。
私たちの生活の基盤となる陸の豊かさを守るために、森林、山地等における生態系の保全が求められています。

 

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